「京野菜」とは一般的に京の伝統野菜とブランド京野菜を含めた43種類の事をさします。 千余年の王城の地として永く政治文化の中心地と栄えた京都において海から遠く寺社を中心に精進料理が発達する中、恵まれた風土と農家の工夫等により京料理の貴重な材料として京野菜が生み出され継承されて来ました。
聖護院ダイコン | 愛宕郡聖護院(現左京区聖護院)の篤農家が文政年間(1818〜)に尾張の国から長大根をもらい育種し丸形の固定種を選抜したのが始まりとされる、煮物用として全国に広がる。8〜9月播き年末収穫。 | ![]() |
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辛味ダイコン | 京都市北区鷹峯の原産元禄(1688)の頃から栽培されていたと言われるコカブに似ている、根部に強い辛味がある、そばの薬味等。 | ![]() |
青味ダイコン | 葛野郡朱雀村(現下京区朱雀)において絶滅した郡大根の変異種とされる、古来より祝儀用として使用。9月播き年末収穫。 | ![]() |
茎(中堂寺)ダイコン | 下京区中堂寺あたりで栽培されていたらしい。漬け物として茎葉共に漬け込む、根長30cm位の尻つまり型、現在は松ヶ崎、鷹峯あたりでわずかの栽培という。 | ![]() |
桃山(大亀谷)ダイコン | 起源は定かでないが滋賀県伊吹山大根を大亀谷に移して栽培されたと言われ、肉質が緻密で漬け物栽培用として作られ、現在は需要は激減し種子保存用のみと言う。 | ![]() |
時無し(藤七)ダイコン | 文政の始め頃(1810)東九条村(現南区東九条)の小山藤七が極晩生の大根を藤七大根と名付けたのが始まりという。現在は改良されて花不知早太り時無し大根として広まっている。 |
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佐波賀ダイコン | 嘉永(1848)の後期には栽培されていた、極晩生の春大根根部は薄緑と白の2系統ある。舞鶴市を中心に栽培されていたが、現在はわずからしい。 | ![]() |
鶯菜 | 江戸中期に現、中京区神泉苑町の農家が天王寺カブラから早生種を目標に選抜淘汰したとされる。早生コカブに属す、播種後40〜50日で根部が親指大になった時に収穫。現在は高級料理店が使用する程度 | ![]() |
聖護院カブ | 愛宕郡聖護院の農家が享保年間に近江堅田から持ち帰った種子を改良した。千枚漬けの原料として知られるようになってから栽培が増加。晩生種のカブで腰高、大きい物は5kにもなる。我が国のカブでは最大級。9月播き、11月収穫。 | ![]() |
スグキ菜 | 上賀茂に伝わる特産野菜でスグキという呼び名の漬け物して伝えられてきた、300年の歴史は確実とされる、古くは上流社会の贈答用であった、今は漬物用。9月播き11月収穫 | ![]() |
松ヶ崎浮菜(八頭)カブ | 来歴は定かでないが奈良時代に僧が持ち帰った物と云われている。秋まきで晩秋〜冬収穫、煮物、漬物用。現在は種子保存用のみ。 | ![]() |
佐波賀(天神)カブ | 来歴不明、古来より舞鶴周辺で栽培されていた。晩生の越年カブ。現在は激減し、種子保存のみ。 | ![]() |
大内カブ | 美山町に伝わるカブで500年の栽培暦があるという。糖度の高いカブで秋まき冬取り煮物用であるが、現在栽培はわずからしいが続いている。 | ![]() |
舞鶴カブ | 舞鶴市喜多原産とされるが詳細は不詳。荒川種苗がこれを舞鶴カブと名付けた物という。カブの地上部と葉は赤紫色を呈する。肉質はやや堅く、煮物用、秋まき晩秋どり。現在はわずかの栽培という。 | ![]() |
ミズナ | 水菜(京菜)の記録が初めて現れるのは天和3年(1683)でそれ以前から栽培されていた物と思われる、肉類の臭みを消す作用がある、鍋物に、9月播き、11〜3月収穫。品質にややばらつきがあるが人気の京野菜。 | ![]() |
ミブナ | 1800年代に水菜の変異種として壬生地方で栽培されたとされる、漬け物、特に千枚漬けの添え物。9月播き、11〜3月収穫。品質にややばらつきがあるが人気の京野菜。 | ![]() |
畑菜 | 江戸時代からあったとされる菜種の一種、煮物、和え物、小松菜が普及するまでこれが主流であった。10月播き、2〜3月収穫。今も京ではある程度の栽培がある。 | ![]() |
もぎナス | 苗物産地でもあった愛宕郡聖護院で慶応(1865)時代在来種より選出といわれる、肉質のしまった小粒のなす少し苦い、天ぷら、煮物、漬け物。 | ![]() |
賀茂なす | 北区賀茂が特産地とされてきたが起源は明らかでない貞享元年(1684)の書物に記録が残っている、大実の晩生なす、でんがく、煮物,へたが3片になる。栽培は他のなすと同じ。収量は少ないが人気のある京野菜。 | ![]() |
山科なす | 古くから山科特産とされてきたが起源は不明。皮が薄く柔らか、煮物、漬け物。栽培は他のなすに同じ。人気のある京野菜。 | ![]() |
鹿ケ谷カボチャ | 文化年間山城国粟田村(元東山区粟田口)の人が津軽から持ち帰り愛宕郡鹿ケ谷の農家に分けたのが始まり。瓢箪型のカボチャ。意外とおいしい。栽培は夏野菜と同じ、園で栽培中。人気のある京野菜。 | ![]() |
伏見トウガラシ | 伏見を中心に作られてきた、江戸時代発刊の書物に記録がある、10cm位で辛味がない、炒め物、天ぷら、葉もたべられる、人気のある京野菜 | ![]() |
田中とうがらし | 栽培の起源不詳,明治の始め愛宕郡田中村(現左京区田中)で栽培されていた記録がある。ふと短く濃い緑色、辛味はない。料亭等に需要があり、現山科区に置いてこの系統と思われる物が少し栽培されている。 | ![]() ![]() |
桂ウリ | 葛野郡桂(現西京区桂)の原産、江戸時代より古く、ここで栽培されていた、大越ウリより選抜とされる。肉厚で50〜90cmになる、奈良漬け用だった。栽培は普通の夏野菜と同じ。現在はほとんど栽培はない。 | ![]() |
聖護院キュウリ | 天保年間以前から栽培されていたキュウリから育成されたと云われる、主に聖護院地区に栽培されていた、果実断面がやや三角形で濃緑色。さらに明治中期に形状の良い物に選抜され左京区を中心に多く栽培されていた | ![]() |
柊野(3尺)ささげ | 柊野(北区)原産のササゲ約300年前から栽培されていたという。他の物に比べ長い(90cm)。未熟時は煮物用、熟期が進めば浸し物に。現在の営利栽培はほとんどない。 | ![]() |
エビイモ | 安永年間(1772)いもぼう(祇園平野屋)の祖先長崎から持ち帰り栽培、肉質粉質極上煮物。栽培は里芋に同じ、土寄せを繰り返す。 | ![]() |
タケノコ | 承応3年(1654)僧隠元が孟宗竹を宇治万福寺に植えたのが広がったと言われる。洛西地方で生産が多い毎年客土して地表に出るまでに堀上げる。 | ![]() |
堀川ゴボウ | 聚楽第の堀のゴミ捨て場へ農民が越年ゴボウを作ったのが始まりとされる、太さ8〜10cm長さ60cm中に肉等を詰め煮込む。栽培は10月播き翌6月堀り、東南にむけ、15度の傾斜で再度浅く定植12月収穫。 | ![]() |
京うど | 日本各地の自生植物。丹波地方では藁小屋の中で醸熱材料を使用して冬季に軟白出荷。桃山では春盛り土で軟化させて5月出荷。数件の栽培農家のみに減ったという。 | ![]() |
九条葱 | 明らかな起源はないが稲荷神社建立(711)の時にネギを栽培したとされている、その後九条地区で多く栽培された、細い物は薬味、太い物は鍋物利用。今も関西の葱の主流。 | ![]() |
京セリ | 承和5年(838)の続日本後記にすでにセリは栽培されていたと記されている、水田湧水利用で生産、前作株を保管し秋水田にばら播いて育成。秋〜冬〜春と収穫する。 | ![]() |
京ミョウガ(ミョウガタケ) | 江戸時代桃山江戸町の茗荷屋平兵衛という人が湧水を用いて作ったのが始まりとされる、かま(むろ)と湧水利用で冬季も生産。 | ![]() |
クワイ | 秀吉の築いた御土居のために出来た東寺付近の湿地での裏作に栽培されたのが始まりという。現在栽培は少ない。 | ![]() |
じゅんさい | 古い沼地に自生し、若葉を食用としてきた。伏見、洛北、山科で栽培の記録があるが、湖沼の水質変化等で現在は採種されていない。 | ![]() |
花菜(準) | 起源は定かでないが始めは切り花用であったとされ、漬物用になったのは比較的新しい。蕾がふくらんだ頃つみ取り漬け物用に。9月頃播種11〜3月まで収穫。今人気がある。 | ![]() |
万願寺トウガラシ(準) | 大正末期頃舞鶴市満願寺で誕生とされる。15cm位肉厚で柔らか、甘みがあり、よくとれる。普通の夏野菜と栽培同一。現在も人気がある。 | ![]() |
鷹峯トウガラシ(準) | 昭和18年頃鷹峯の島本氏が知人から譲り受けた種から選抜、12cm位肉厚、光沢あり甘い、収量はやや少ない。振り売りや朝市等で出ている。トウガラシ類はやや交雑している物が出てきている。 | ![]() |
郡(コオリ)ダイコン | 西京極郡町の原産、慶長年間以来明治迄毎年御所に献上していた。直径2cm位で根長が25cm程あり、地中部は純白で曲がりくねっている。他のダイコンにない風味と切断面が菊の御紋章に似ているので吸い物のうかし(具)に珍重された。昭和17年頃絶滅。 | - |
東寺カブ(カブ) | 慶長年間大津で栽培されていた近江カブの系統とされるが、詳しい事は不明。かつては東寺付近で栽培され、近江カブ同様千枚漬けにされたが聖護院カブが普及してからは衰退し昭和50年代絶滅。根部は扁平で尻がくぼみ地上部は緑を帯び肉質は緻密。 | - |
紫ずきん(エダマメ) | 丹波黒大豆から生まれた秋のえだ豆です。粒が大きくコクのある甘味がたっぷりです。豆の薄皮が薄紫色で、頭巾のような形をしているため、この名が付けられました。 たんぱく質はもちろんビタミンCやカルシウムが豊富です。 | ![]() |
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金時ニンジン | 表面だけでなく中まで真っ赤です。肉質が軟らかで、甘味があります。 ビタミンA、B、Cや食物繊維が豊富。粕汁や正月の煮しめなど冬の料理の彩りとして欠かせません。間引き菜は和え物に最適 | ![]() |
ヤマノイモ | 一般に「つくねいも」とも呼ばれる丸いもの一種です。 肉質が締まり、水分が少なくて、粘りが大変強いのが特長。 ビタミンCが豊富です。 すりおろしてとろろ汁にするほか、菓子原料としても使われます。 | ![]() |
京の伝統野菜にも 登録されている物 (14品目) |
ミズナ、ミブナ、九条ネギ、京タケノコ、伏見トウガラシ、賀茂ナス、京山科ナス、万願寺トウガラシ、鹿ケ谷カボチャ、エビイモ、聖護院ダイコン、堀川ゴボウ、クワイ、花菜。 |